ブロックチェーンを用いて、サプライチェーンをデジタル転換

暗号資産の基盤技術、ブロックチェーン(分散型台帳)の活用が契約書や知財管理、貿易事務、サプライチェーンといった分野にも広がりつつある。

今月17日、三井物産流通ホールディングス(MRH)NTT Comは、今年7月に三井物産およびNTTと共に締結した「ブロックチェーンおよびIoT技術等の活用によるサプライチェーンDXに関する共同実験協定書」に則り、同技術の実験推進で合意した。商品や物の流れを管理する「サプライチェーン情報基盤」と、企業間取引をデジタル化する「コネクティッドバリューチェーンを実現する基盤」との連携を目指し、今秋から実証実験を行う。

両社それぞれにとって、ビジネス領域におけるICT企業との共同実証実験と、サプライチェーン領域におけるブロックチェーン技術の実務適用は初の取り組みとなる。今回の実験ではMRHが持つ流通分野での需給管理ノウハウを活用――。両社はブロックチェーン技術の流通業界への適用に必要な技術研究をさらに進めるとともに、新たなサービス提供領域に向けたビジネスモデルの構築とサービス提供に向けた具体的な機能構築を進めていく。

Ethereumをベースとしたブロックチェーン技術にNTT研究所のブロックチェーン活用技術(トークン追跡効率化技術)を適用し、RFIDなどのIoTを組み合わせたプラットフォームの構築により、情報の活用に向けた検証を行う。「サプライチェーン情報基盤」と、NTT Comの企業間取引データプラットフォームを活用して複数企業間の請求データのデジタル化や一覧化を可能にする「コネクティッドバリューチェーンを実現する基盤」とを連携させる。

このたびの実験により両社は、MRHの持つ事業領域における本実験成果の適用の可能性と、生み出す付加価値を可視化し、DXの具体的な活用方法を確立することで、様々な業界におけるサプライチェーン領域での事業化を図っていく考えだ。