QUBO問題の解をスケーラブルかつ高速に探索する、計算方式誕生

グラフィックプロセッサ(GPU)とかプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)が、超高速を求める科学演算にも使われるようになった。近年、それら半導体集積回路や、量子アニーリングを用いて、組合せ最適化問題を高速に解くアーキテクチャの研究開発が活発に行われている。

組合せ最適化問題はさまざまな分野の問題を表現することができる。そのため、問題を高速に計算することが可能になると、多くの社会課題の解決につながる。新たなアーキテクチャに対する取り組みは、多様な組合せ最適化問題を統一的なQUBO(二次無制約二値最適化:二次形式で表現され各変数が01を取る無制約最適化)問題に帰着させて、これを高速に解くことを目的にしているという。

NTTデータは、広島大学大学院先進理工系科学研究科の研究チームと共同で、組合せ最適化問題の解を高速に探索する新しい計算方式「アダプティブ・バルク・サーチ」を開発した。QUBO問題の解を、複数のGPUを用いて効率よく並列に探索する、同方式を用いることで、従来の技術では解くことが困難であったさまざまな問題を効率的に解き、量子コンピュータや次世代アーキテクチャの適用分野を拡張することを目指す。

両者による新解法は、探索手法を柔軟に変化させることで、多彩なQUBO問題に対応可能。より大規模な計算機システムやスーパーコンピュータを用いることで台数に比例した計算速度のスピードアップができる――。GPUのアーキテクチャ特性を考慮した解の探索手法を設計し、最新のNVIDIA製GPUを4基搭載したサーバで1秒間に1兆を超える解を探索する計算速度を達成した。

最大カット問題、巡回セールスマン問題、ランダム問題に対する「アダプティブ・バルク・サーチ」の高速性を実験で示している。現状、32,768変数のQUBO問題まで扱えるという。研究成果は、並列処理の国際会議ICPP2020にて発表される。