製鉄所にローカル5G、ディーゼル車の遠隔運転をはじめDX実現へ

高速・大容量の5G商用サービスが始まった。日本では、地域の企業や自治体が広帯域無線アクセス(BWA)網を自ら構築して課題解決等をめざす「ローカル5G」も期待されている。

ローカル5G導入に関するガイドライン(総務省PDF)に示されている。自営等BWAは、高速ネットワークを容量無制限とし、専用にすれば極めて高いセキュリティを担保できる。自ら無線基地局を設置することで、建屋等の影響により公共無線網では電波の届きにくい場所や、広い敷地内の隅々まで通信できるメリットもあるという。

日本製鉄NSSOLは、8月7日にNSSOLが自営等BWAの免許を受け、室蘭製鉄所において自営無線網の適用検証を共同で行うことを12日に発表した。無線エリア設計や免許申請支援(ローカル5G周波数帯の免許申請は今年末を予定。これに先駆け4Gベースの自営無線網にて事前検証)、システム構築、運用保守はNSSOLが担当し、無線設備はノキア製を適用する。

4G自営等BWA基地局を設置した同製鉄所では、構内を走行するディーゼル機関車の遠隔運転を検証する。機関車に高精細4Kカメラを搭載――撮影された映像を伝送、分析することで、遠隔運転の技術要件、4Gベースの技術限界を確認する。機関車位置の見える化システムに、高精度測位(RTK測位)を適用して車両表示位置の精度向上を図り、「安全見守りくん」プラットフォームの拡張も計画している。

各種情報の総合プラットフォーム化を推進し、作業者への接近アラームなど付加機能を強化していく。両社は、電波伝搬状況を構内全域で調査し、高い建造物が多い製造現場で複数の自営無線網ニーズへの適用検討を行う。 ローカル5G適用時には、遠隔運転に向けた伝送技術の確立、工場のデジタルツイン化、スマートファクトリ化を進め、成果の横展開も視野に、製造現場におけるデジタルトランスフォーメーション実現を目指すという。