国交省Web「インフラメンテナンス情報」にそのような実態が示されている。インフラは長期視点でライフサイクルコスト縮減を図る「予防保全」が必要となる。路面損傷による事故・災害を防ぐ橋の点検では、一般車と走行しながら電磁波レーダ測定する「床版キャッチャー」を活用中だが、熟練技術者による判定に長時間を要し、高い調査コストや技術継承等が課題だったという。
ニチレキとグリッドは、AI(人工知能)×電磁波により非破壊で鉄筋コンクリート床版上面の損傷箇所を判定するシステム「smart床版キャッチャー」を開発した。電磁波の反射信号に熟練技術者の判定結果を付与した――教師データを基にしたAIにより損傷を判定する。同システムでは、損傷範囲の判定結果(解析速報)がクラウドに即時アップロードされる。
調査から解析まで現場で完結し、道路管理者は迅速・安定な判定結果の確認ができる。「smart床版キャッチャー」はまた、高精度位置情報(RTK-GNSS)を採用したことで、計測座標を基にしたAI判定前後の作業において、両車線の座標合わせ作業を自動化。作業工数を削減して定期点検の効率化を図ることで、従来技法との比較で調査費用を約2割減らすことに成功した(ニチレキ社比)。
実際の損傷などから得られる新たな知見を反映できる「AI再学習機能」を取り入れているため、新たに蓄積したデータをAIが再学習することで、判定精度を向上させることが可能となり、調査による予防保全の支援を強化し、橋梁の予防保全に大きく貢献できるという。AI×電磁波の新システムは、国交省の「点検支援技術性能カタログ(案)」(PDF資料P.2-260)に掲載された。