5G、介護付ホームの食堂にてアレルギーチェックと摂取量記録

今春その一部商用サービスが開始された。超高速・大容量、低遅延、多数同時接続を特長とする「5G」通信は、新たな市場創出への期待が大きい。一方で、およそ10年前に超高齢社会となった日本ではいま、介護人材の需給ギャップと、それによる人手不足が社会課題となっている。

介護施設における課題解決に向け、介護職員が携わる業務内容および所要時間を調査したところ、食事介助に多くの時間が割かれていることが分かったという。NECは今年2月、NTTドコモSOMPOHDSOMPOケアと共同で、広島市の介護付きホーム「SOMPOケア ラヴィーレ舟入」にて、「介護施設の食堂における入居者の特定と禁食(アレルギー)チェック、および食事時の摂取量記録」をテーマに5Gの実証試験を行った。

各社の技術を持ち寄り、同施設の屋上に4.55GHzおよび4.75GHzの通信エリアを構築。居室~食堂の動線に設置したカメラで、食堂へ向かう入居者を顔認証にて特定し、登録データベースと照合――カメラ目線を得にくい高齢入居者の高画質撮像を多数伝送するのに低遅延・大容量通信特性を活用――することで、各人のアレルギーや食事制限の情報を配膳室のディスプレイに表示した。

5Gの活用により「顔認証による来訪者特定」「アラートによる禁食チェック」「食事前後の配膳トレー撮影による摂取量管理の自動化」を実施し、介護職員のピーク時の業務効率化に貢献できることを実証した。

今回の試験は、総務省の令和元年度5G総合実証試験――NTTドコモが実施主体となり同省から請け負った試験グループGI「屋外環境において複数基地局、複数端末の環境下で、平均4-8Gbpsの超高速通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討」(ドコモPDF資料)として実施したものだという。4社は今後、上記結果をもとに介護施設への導入を目指して検討を行っていく。