銀行口座の"違和感"をAIが検知する

65歳以上の人たちが全人口の21%を占める。およそ10年前に超高齢社会となった日本では、親の愛を悪用した卑劣な犯罪がなくならず、公共機関などをかたり現金やキャッシュカードを詐取する手口も横行している。特殊詐欺への警戒に加え、日常生活を見守るしくみが重要になっている。

詐欺被害、物忘れや買い込み、家族との音信不通、認知症など高齢者にかかる出来事や不安は、その人が歳を重ねるごとに増えていく。家族の行動の変化はお金の使い方に影響することが多く、特に認知症による行動変化は「口座の支払い状況」によく現れるという。今月13日、エクサウィザーズは、福岡銀行との共同開発による、AI(人工知能)が詐欺や払い過ぎを検知する「口座見守りサービス」のテスト版提供を開始した。

同行の口座保有者を対象に、一部の人に限って試験展開する。特許出願中のしくみでは、銀行口座とアプリを接続することでATMや公共料金の支払いデータをAIが分析し、変化の兆候を親子でシェアできる。口座の支払い状況の「異常検知」をすることで詐欺や払い過ぎなどを早期発見できるほか、「傾向変化」を捉えることで認知機能低下の兆候発見にも役立てられ、その兆しをアプリ経由で、家族共有することが可能となる。

「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」ミッションのもと、介護・医療・HR・ロボット・金融など多彩な領域でAIプロダクトの開発と実用化に取り組む。エクサウィザーズは、金融機関とのAPI連携に基づくサービスを提供するための必要な手続きとして、銀行法等に基づき、金融庁への電子決済等代行業者の登録(登録番号:関東財務局長(電代)第66号)を完了している。

同サービスについて、'20年度中に福岡銀行口座所有者向けの本格的なサービスとして提供を開始――。さらに、他銀行との連携も進めることで、日本全国でのサービス展開を予定しているという。