災害発生時、ドローンにて携帯サービスエリアを素早く復旧

自然災害時等により携帯電話等の基盤に損害が生じ、広範囲において通信が不能となった場合の復旧の方策として、自動船位保持機能を有する船舶又は係留ドローンに搭載する基地局及び陸上移動中継局の臨時的な開設・運用を認める――

無線局の開設の根本的基準等の一部を改正する省令案等に対する意見募集結果を総務省が先月公示した。そして、ソフトバンク双葉電子は、災害発生時に携帯電話のサービスエリアを迅速に復旧させるための「有線給電ドローン無線中継システム」を東京工業大学工学院 藤井 輝也研究室)と共同開発し、千葉県市原市のドローン飛行場にて長時間無線中継する実験に成功したと今月9日に発表した。

同システムは非再生周波数変換リピーターを用いていて、地上の無線中継装置(親機)と、ドローンに搭載した無線中継装置(子機)で構成。ドローンの飛行と子機に必要な電力を地上から有線給電し、長時間運用を可能にしている。現地到着後1時間以内に運用を開始できるうえ、「係留気球無線中継システム」よりも小型なため、現地への運搬が容易である。

郊外の上空100メートルで停留飛行すれば、親機と子機間の中継距離を10km、サービスエリアを半径3km超、見通しが良いと半径5km超確保できる。双葉電子製の機体をベースにした上記ドローンは、プロポで設定する自律飛行を基本とするが、現地の急な天候の変化などに柔軟に対応するために、ソフトバンクと東工大が共同開発した目視外での手動操縦を可能とする「ケータイドローン飛行制御システム」を併せて利用できる。

実証実験の実施にあたり、総務省関東総合通信局からフィールド実証評価を行うための試験局免許を取得していたという。3者は同システムの実用化を推進。ソフトバンクは全国主要施設に配備されている係留気球と今回のシステムを併用して、自然災害などにより支障が生じた際にサービスエリアを早期復旧していく構えだ。