スマート農業、養豚繁殖への適用プロジェクトはじまる

豚肉の国内需要は30年前よりも約30%増加――。国内生産量は約20%減少している。食の安心安全の観点から、国内産豚肉の需要は増加傾向にあり、日本国内における豚肉生産量の維持拡大に向けた仕組みづくりが求められている。

「畜産物需給の推移」(農畜産機構PDF資料)が上記状況を示している。今日、中小農家では高齢化や後継者不足が課題となっていて、大規模農家では生産性の維持と労働力の確保が難しい。これらの課題を解決するには、働き手の技術レベルに依存しない生産体制の整備が急務であり、養牛・養鶏よりも遅れている養豚業のデジタル化が重要だという。

ユニアデックスは9日、産学官連携による「IoTデータ活用を通じた持続可能な養豚繁殖モデルの実証」を開始する。農水省「令和2年度スマート農業実証プロジェクト」(PDF)に採択された同モデルでは、作業難易度が高く、出荷頭数への影響が大きい繁殖作業の最適化を図るだけでなく、作業効率化・防疫対策の観点からロボットなどの最新技術を活用することで作業員のプロセスを自動化する。

持続可能な養豚経営支援のモデル化を目指すという。今回の実証プロジェクトは、農水省(事業主体:農研機構)の支援を受けて実施される。石川県立大学(代表機関)、家畜改良センター(実証管理運営機関)、埼玉県農業技術研究センター日本大学スワイン・エクステンション&コンサルティングNOUDAとともに、「養豚繁殖モデルスマート農業実証コンソーシアム」を設立して2年間の予定で行う。

「精液の品質評価」「母豚の発情検知」「母豚の分娩予兆検知」「遠隔監視システムによる母豚の見守り」について、デジタル化の有効性と費用対効果を検証。経験が浅い作業者による受胎率80%、作業削減率30%の成果を目標にしているという。同社は画像解析による自動判定、台車ロボット・定点カメラを豚舎へ実装し、その実用性を技術的に検証する。