広帯域無線アクセスのしくみで都市ガス製造現場の業務効率アップ

超高速・大容量、低遅延、多数同時接続を特長とする「5G」の商用サービスが始まった。それとは別に、地域の企業や自治体等が基地局を設けて各種サービスやしくみをデータ駆動型にする「ローカル5G」が注目されている。

ローカル5Gは、個別ニーズに応じて様々な主体が、⾃らの建物・敷地内でスポット的に柔軟に構築できる5Gシステムだという。総務省から昨年末「ローカル5G導入に関するガイドライン」(同省PDF)が示されている。他方、広大な敷地内で災害時にも確実に通話ができるよう使われてきたPHSシステムは、'22年11月までに新規格への対応が必須とされている(参考:同省PDF資料)。

既存PHSシステムの代替、デジタル化による業務効率化および円滑な技能伝承に向けて、通信環境の更新を検討してきたが、電波のカバー範囲が狭い無線LANシステムは多数のアンテナを要し、コスト面での課題があったという。大阪ガスは、泉北製造所においてBWA(広帯域無線アクセス)網システムを活用し、現場業務の効率化に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する。

そのために、同社傘下のOGBCは7月1日に近畿総合通信局より「自営等BWA」免許を取得。通信事業者として通信設備の維持運用管理をおこなう。泉北製造所で都市ガス製造を担うDaigas G&Pソリューションは、新ネットワークを活用したDX推進により運転・維持管理業務の効率化を進める。ネットワーク機器の納入・運用支援・保守は、パナソニックSSJが担当する。

センシング技術を活用した点検作業の効率化、音声・映像などを活用した熟練作業員による技術伝承の円滑化、遠隔立会いによる緊急時対応の迅速化などを進め、製造所のスマートファクトリー化を目指していくという。Daigasグループとパナソニックは、ローカル5Gの導入を見据え、泉北製造所のさらなるDXを推し進めていく構えだ。