AIシステム開発に共通する工程を体系化、標準化して案件に適用する

AI(人工知能)を組み込んだシステムが急速に普及し始めた。今、AI固有の特性によりこれまでとは異なる課題が明らかになりつつある、AIシステム開発においては、AIモデルの構築が重要な要素となっている。

効果的なAIモデルの構築には、データの取り扱いに関するものや機械学習のことなど多くの専門知識が求められる。従来のシステム開発とは異なる領域の知識を持った技術者が必要となる。最適化のために多くの繰り返し試行が要求されるなど、これまでのシステム開発とは異なる工程も必要になるという。NTTデータは、「AI開発プロセス」を策定――同社がおこなう全てのAI案件へ、その試行適用を今月開始する。

AIシステムの開発における共通的な工程を体系化して定義したもので、全社での300以上のユースケースをもとに策定された。AI開発プロセスには、AIシステムの総合的な品質保証を念頭におき、社会的に求められる倫理、コンプライアンス上のチェック観点や、AIシステム開発において重要となるデータの事前加工や品質管理に関するノウハウが組み込まれている。

特に重要となるデータの取り扱いに着目、長年データ加工や統合に携わる専門家の知見を盛り込み、データ整理、前処理、AIモデル構築といった一連の工程を円滑に実施できるようにした。今回のプロセスを適用することで、性能、拡張性、セキュリティー、プライバシーなど総合的な観点から、顧客が安心して利用できるAIシステムを実現する。

同社は、今度の試行適用においてまず日本国内のAI案件を対象とし、有効性が確認されたのちグローバルでの展開も視野に検討を進める。AI開発プロセスの策定を主導するAI CoE(Center of Excellence)の活動を通して、'22年度末までにAIシステムの開発体制を3,000人規模に増強することで、NTTデータにおけるAI案件の推進力を強化する考えだ。