感性や経験を再現する画像処理システムにて外観検査を自動化

熟練技能者の不足や人件費の高騰が深刻化している。製造業では、人の経験や感覚を必須とし、人に依存していた搬送、組立、検査工程などの自動化が急務となっている。作ったモノの様々な色や大きさのキズの判別、良品自体が大きくばらつく場合の欠陥品の判定などをする――

製品の外観検査においては特に、ベテランの感性と経験が必要となる。最近では、新型コロナ対策として、モノづくり現場の3密回避を目的に、同検査の省人化・自動化が一層求められている。画像認識を得意とするAIへの期待が高まっているが、膨大な画像データを用意して機械学習させねばならず、専門エンジニアの確保と特別なハードウェアの現場設置を要するなど、その実用化には課題があり、AI導入が進んでいないのが現状だという。

オムロンは、検査対象物のキズなどを学習せずに使える、業界初(同社6月調べ)の欠陥抽出AI技術を搭載した画像処理システム「FHシリーズ」を7月1日から順次世界で発売する。"人の感性"や"熟練者の経験"を再現するAI技術を既存システムに装備することにより、検出困難だった欠陥をスキルレスに安定検出し、人の目視に頼っていた外観検査の自動化を実現する。

新システムは「感性」で傷を発見する。熟練検査員の検査手法・違和感を欠陥とするノウハウを再現したAI技術によって、複雑な背景に対しても、サンプルや調整なしで「傷や欠陥」を検出できる。さらに「AIファインマッチング」が良品状態の画像データを学習することで、人が長い年月をかけて得る「検査に関する技術やノウハウ」を短期間で獲得する。

欠陥の過検出や見すぎゼロをAIがアシストするという。今回のシステムは、高度な環境に適用するAIを軽量化し、検査市場で実績豊富なFHシリーズハードウェアに処理項目として搭載。AI専用のハードウェアと技術者を不要にして、外観検査の自動化とコスト削減を具現化し、生産性を向上する。