がんの治療と研究を支える宿泊施設、スマートシティで2年後に開業

国内有数のがん専門病院が千葉県は「柏の葉エリア」にある。そこには国内外から年間約30万人のがん患者と、医療従事者や研究者らが訪れている。同病院の周辺には総合競技場や大学キャンパス、先端科学技術ラボなどが揃っているのに、十分な数の宿泊施設がない。

放射線治療や薬物療法等では一定期間の通院を必要とする。遠方からの通院は身体的な負担も大きい。そのため患者や関係者から、近隣に宿泊・滞在できる施設が求められていたという。国立がん研究センター(NCC)三井不動産は、がん患者や付き添いの家族の利便向上、および柏の葉エリアでの新たな診療モデル創出を目的とした宿泊施設を整備するため、5月27日に事業用定期借地契約を締結した。

NCC東病院の土地の一部を「柏の葉スマートシティ」づくりを進めている三井不動産に賃貸する。同病院の敷地内に、国内外からのがん患者や家族、研究者らを受け入れる病院連携宿泊施設を建設する。'22年に開業予定だという。新施設は140室程度の客室を有し、患者が付添人と一緒に過ごせる広めの客室や、中長期滞在者のためのキッチンや家電などを備えた客室があるものとする。

NCC東病院と連携し、緊急時や相談への対応、治療と仕事の両立を支援する体制も計画されている。がん患者や家族を支える具体的なサービス・機能については、NCCと三井不動産が共同して検討を進めていく。両者は、昨年6月に次世代医療技術・ヘルスケアサービスの開発のための連携協定を結んでいて、以来、がんの「治療」と「克服」を目指したライフサイエンス拠点の形成を推進している。

そして新施設においても、IT(情報技術)とデータを活かす。5Gなどの新たな通信環境の整備も視野に入れ、遠隔診療・在宅医療を目標に宿泊者の健康管理に繋がるセンシングデバイス等の実証フィールドとして活用し、公民学の連携による、新たな診療モデルの創出を目指していくという。