あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の活用を軸にして、作物の収穫量を上げたり、圃場を効率的に管理したりする。「スマート農業」が脚光を浴びている。昨今、そこに新たな課題も見つかっている――。
IoTセンサーを設置している圃場と無線基地局が遠く離れている場合や、両者の間に建物など遮蔽物がある場合には、データ通信が不安定になることがあり、基地局を圃場脇や空き地など屋外に設置するには、電源の確保が必要だという。水田の水位・水温を測定するIoTセンサーなどからのデータを収集してクラウドに送信するための基地局、測定値を遠隔確認するためのスマホアプリなどをセットにした「水管理パックS」を3月より提供している。
IIJは、カウスメディアとともに、IoT向け無線通信方式LoRaWAN®（LoRa Alliance®）に対応した無線基地局の屋外での利用ニーズに応え、ソーラーパネルや充電式バッテリー、USB出力対応充電コントローラーなどをセットにした「LoRaWAN®ソーラー基地局DIYパッケージ」を共同開発。これをカウスメディアが今月17日より同社のオンラインショップで販売している。
同パッケージは、顧客が自ら基地局を安価に組み立てるのに必要な部材群で構成されている。IoTセンサーを設置している圃場がLoRaWAN®の無線到達範囲（約1～2km）外にある場合や、基地局と圃場間に遮蔽物がある場合に、電源確保が難しい圃場脇や傾斜地などで利用できる。
水管理パックSに含まれる無線基地局「TLG3901BLV2」（Kiwitech製）は屋内設置を前提にしていて、今般のパッケージは同パックと組み合わせての使用を想定。だが、河川監視や屋外インフラ設備監視など農業以外の用途にも活用できるという。両社はソーラー基地局DIYパッケージをあらゆるシーンで利用してもらえるよう、今後もパッケージの改良を進めていく考えだ。