貨物列車をIoT化、7,200両のコンテナ車で"手ブレーキ"検知

全国の貨物駅構内では列車出発の前、担当者が各コンテナ車の手ブレーキ (構内留置用のマニュアル制動装置) を目視確認して、それを手動で解除していく。現在の作業工程及び仕組みでは、万が一、手ブレーキの解除漏れが発生すれば、車両の引きずりなどの事象が発生してしまうという。

JR貨物JR東日本コンサルタンツは、KDDI協力のもと、貨物列車の安全性向上を目的に、モノのインターネット(IoT)技術を活用した「手ブレーキ検知システム」を共同開発した。JR貨物はこれを約7,200両ある全てのコンテナ車へ、'20年度下期から順次導入していく。従来列車の出発前に行っていた手ブレーキ状態の確認作業を、遠隔からも可能とすることにより、手ブレーキの解除漏れを撲滅し、安全の確保を図るという。

同システムでは、手ブレーキの状態を検知する通信装置が内蔵されたIoT端末をコンテナ車1両ごとに設置。KDDIのIoT通信サービスLPWA (LTE-M) 経由で、手ブレーキの状態データを自動的に地上サーバーに伝送する。伝送データはJR貨物の社内システムと連携――列車番号と紐づくデータとなり、手ブレーキの状況確認に用いられる。運転士と担当社員にアラームを通知することで、引きずり事象等の発生を未然に防げる。

貨物駅から列車が出発する前に、駅構内に設置したモニター画面や、機関車の運転台に設置したモニター画面で、列車に編成されているコンテナ車の手ブレーキが解除されていることを確認できる。列車が駅を出発する際、万が一、手ブレーキが掛かったままのコンテナ車が連結されている場合には、モニター画面に警告を表示する。

新たな仕組みについて、JR貨物とJR東日本コンサルタンツが共同で特許出願中だという。3社は、今後も持続可能な社会を目指すとともに、鉄道事業の最大の基盤である安全の確保に向けて、さらなる取り組みを進めていく構えだ。