オンライン講義の音声を自動で字幕化、確認や復習を容易に

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大をきっかけに、様々なしくみのデジタル転換(DX)が一気に普及した。日本でも、学校の授業のオンライン化が急速に進行していて、半数近くの大学でオンライン授業が行われている――。

けれど準備期間が少ないままオンライン授業に移行したため、教育現場では授業の質の維持が課題となっている。授業の質の維持・向上には、聞き逃した音声の再確認や授業内容の振り返りを素早く効率的にできることが重要である。ビデオでも振り返りは可能だが、早送り・早戻し操作を必要とする装置等では、聞き逃した部分を探すのに時間がかかってしまうという。

東芝は、オンライン授業の教師の音声を字幕化し、学生に配信する音声自動字幕システム「ToScLive™」を開発した。同システムは簡単な操作で使用でき、手軽に授業に導入できる。現在オンライン授業で利用されている各種オンライン会議システムとの併用が可能である。ToScLiveにより、学生はPCやタブレット・スマホを見て、聞き逃した部分の確認や授業内容の振り返りが容易となる。オンライン授業の質が高まることが期待される。

授業開始前に声を吹き込むだけでマイクの動作状況を確認できるガイド機能があり、マイクの音量と周囲の雑音の大きさを測定し、正しく音声を認識できるようにサポートする機能も備えている。オンライン授業の音声認識は、専門用語をシステムに登録(講義資料などのテキストデータから専門用語を自動抽出)することで精度が向上する。会議・講演向け音声自動字幕システム技術を基に、フィラーや言いよどみを検知して字幕を薄くする。

しくみの有効性を6月中に慶應義塾大学法政大学の講義で検証する予定だという。東芝は、ToScLiveの実証実験を通じて教師や学生から効果や課題の聞き取りを行うことで、システムの有効性を高め、早期の教育現場への導入を目指す。