暗号資産の即時グロス同時決済手段を提供する

金融とIT(情報技術)を融合したフィンテックの一つである、ブロックチェーン(分散型台帳技術)を基盤とした仮想通貨などは近年、「暗号資産」と呼ばれている。それを売買する当事者同士が行う相対取引――OTC(Over the Counter:店頭)取引が拡大傾向にある。

暗号資産市場内のOTC市場は、売買成立後、売買対象となる暗号資産とその決済代金である法定通貨の受け渡しが、それぞれ分断された手段で実施されていて、取引相手との決済リスクが存在する。一方、第三者のクリアリングハウスや決済機関に暗号資産を預託することで、暗号資産の同時受け渡しを実現可能だが、全世界の市場参加者から等しく信用される統一決済機関の設立は極めて困難だという。

デジタルガレージ傘下でブロックチェーン金融サービス事業を展開するCrypto Garageは、今月9日、暗号資産の大口OTC市場に特化した、トレーディング会社や取引所、資産運用会社、ブローカー向け決済プラットフォーム「SETTLENET」の商用サービス開始を発表した。

同プラットフォームは、Bitcoinブロックチェーン関連分野で世界トップレベルの技術力と知見を持つカナダBlockstream社が開発したサイドチェーン「Liquid Network」を基盤とし、Non custodial(第三者に資産を預託せずに、資産のコントロール権を本来の所有者が保持し続けること)を前提としながら、トークンの即時グロスDvP決済を実現する。

と同時に、事業者間で暗号資産の決済代金の支払いに利用可能な円建てトークン「SETTLENET JPY」を発行し、スムーズな法定通貨建ての決済を提供する。Crypto Garageは今後、アセット管理を容易にする「UTXO Manager」を皮切りに、「SETTLENET」を構築する上で蓄積した要素技術やツール群を随時提供していくという。