生産性向上や安定稼働に不可欠な装置や設備の状態監視は、その市場規模が'24年に約35億ドルとなるだろう(予測:ResearchStation社)。製造・インフラ分野において高い安全性が求められる装置や設備では、故障や不具合の「見逃し」が深刻な事態につながるかもしれず、「誤検出」が不要な修理部品や保守員の手配につながり不要なコストを発生させる。
AI(人工知能)による異常検知においては、専門家が時系列波形データを確認して原因究明や対策立案を行うのが基本である。そのため、AIの判断結果には、人が容易に理解しうる、高度な説明が求められる。つまり、今後拡大の一途である機械状態監視マーケットにおける、AIによる異常検知の性能向上には、「見逃し」「誤検出」の抑制と、高い「説明性」との両立が強く望まれているという。
東芝は、製造装置やインフラ設備における異常を機械学習により検知・診断する技術において、時系列波形データをベースとした異常の「見逃し」「誤検出」の抑制と、異常と判断した理由がわかる「説明性」を両立させたAI技術「LTSpAUC」を新開発した。同技術により、現在の最先端技術との比較で、十分な「説明性」を維持しながら異常検知性能を約7%向上することに成功した。
稀にしか発生しない異常波形パターンであっても漏れなく学習できる。異常と正常を分類した部分波形パターンを提示して、AIが判断した根拠を確認することが可能だという。今回の技術内容は、AI・データマイニング領域の国際会議SDM2020発表論文に採択され、SIAMオンラインジャーナルに掲載された。