コロナ禍を乗り越える、3Dプリントネットワークでオンデマンド生産

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がグローバル経済を機能不全にした。世界的な感染拡大により、工場稼働停止に伴うサプライチェーンの毀損や、人工呼吸器など各種医療機器の不足といった問題が発生している――が、産業界は今、それらに立ち向かいつつある。

世界各国で業種を問わず不足部品の臨時生産に協力し合い、共に危機を乗り越えようとする動きが始まったという。キヤノンMJは、3Dプリンターによるオンデマンド生産代行サービスを5月27日に開始した。3Dプリンターネットワークを活用した受託製造事業を始めることにより、世界中で猛威を振るうCOVID-19による影響の抑制を支援する。

同社のハイエンド3Dプリンティング技術を活かした。樹脂部品を中心とする受託製造事業では、サプライチェーンの維持や見直しを図る事業者に向けて、同技術による需要に合わせた生産で顧客を支援する。必要な部品の形状やボリュームなど要望を聞いたうえで、産業用3Dプリンター事業で培ってきたノウハウを活かし、様々な素材や方式からそれに合わせた提案を行う。

産業用3Dプリンターは近ごろ航空・医療・自動車などの業界でも、最終製品に耐えうる材質・品質で部品を出力することが可能となっていて、複雑な構造部品も短い時間と少ない手番で生産できるという。同社と販売契約を結ぶ米国3DSYSTEMS社では、ストップギャップフェイスマスク、フェイスシールドフレーム、鼻腔用スワブ、人口呼吸器などへのソリューションを既に提供している。

そしてその日本国内での検証に要する部品製造に積極的に協力していく。キャノンMJはこのたびの新サービスで、受託ボリュームに応じて国内3Dプリンター事業者とも協力し、より最適な支援を実現する。部品の受託製造に限らず、3Dプリンターを活用したサプライチェーンの再構築において、これからもベストなソリューションを提案していく構えだ。