需要予測をスマートに、供給の計画量を自動調整、立案を支援

「必要なものを、必要なときに、必要な量だけ配送する」。在庫削減を目的としたジャストインタイム物流が主流であったロジスティックス分野では近年、風向きが変わりつつある。多頻度小口配送は、物流オペレーションの負荷増大を招いていて、生産性の下げ圧力となっている。

同分野においては、トラックドライバー不足による「物流危機」と呼ばれる新たな社会課題が加わったことで、これまでと同じ方法では物流現場が立ち行かなくなりつつある。製造現場においても、少子高齢化などを背景に人手不足が深刻化していて、特に労働集約型の生産ラインでは、需要変動への柔軟な対応が難しくなり始めている。これらの課題を解決するには――

需要予測の精度向上と、需要に基づき必要となる生産量・物流量を的確に捉え、変動する生産・物流の負荷(製造時間、輸送量など)を計画的に月・週・日でコントロールすることが重要になるという。キヤノンITSは、需要予測・需給計画ソリューション「FOREMAST」の新版Ver.3.2を6月1日に発売する。同社のR&D部門が培った需要予測技術、数理最適化技術、AI活用技術などの研究成果を生かしたものである。

欠品削減と在庫削減の実現を支援するしくみの新バージョン「FOREMAST Ver.3.2」は、工場・ラインの生産能力や物流の輸送能力にあわせて補充計画量をオートで調整する「負荷自動調整機能」、製造時間・輸送量などの負荷を画面で確認して商品毎の計画量を修正できる「計画立案支援機能」、さらに顧客の保有データによる追加学習も可能な「深層学習予測モデル」を備えている。

これらの機能追加によって、生産・物流分野における計画担当者の業務負荷を軽減するだけでなく、実務担当者の過重労働の原因となる業務負荷アンマッチの軽減によるワークライフバランス適正化や、輸送効率向上によるCO2削減など、様々な社会課題の解決に寄与するという。