あらゆるモノがネットにつながる「IoT」が普及期に入った。現在、様々な機器がクラウド経由で情報を送り、それをクラウド上のシステムで処理することが多く、高い性能を要する人工知能(AI)を用いた処理については、中央のシステムで行うことが一般的となっている。
IoTアプリの拡大によりクラウドで扱う情報量が増加し、IoT機器・システム(エッジ側)と、データセンター/クラウドシステムとの間でデータ転送の遅延が起こり、リアルタイムな情報処理を阻害しかねない。すべてをクラウドに依存したしくみでは、個人を特定できるデータをクラウドに保存することに伴うセキュリティ上の懸念、クラウド側での消費電力や、クラウドサービス利用時の通信コストの増加などの課題が生じているという。
ソニーは14日、画素チップとロジックチップを積層して世界初(同社調べ)となるAI処理機能を搭載したインテリジェントビジョンセンサー2種を商品化すると発表。イメージセンサーにAI機能を装備することで高速エッジAI処理を可能にし、必要なデータだけを抽出――クラウドサービス利用時におけるデータ転送遅延時間の低減、プライバシーへの配慮、消費電力や通信コストの削減などを実現するという。
新製品は4月からサンプル出荷をしている1/2.3型(対角7.857mm)有効約1230万画素 インテリジェントビジョンセンサー「IMX500」(ベアチップ製品)と、6月にサンプル出荷予定の1/2.3型(対角7.857mm)有効約1230万画素 インテリジェントビジョンセンサー「IMX501」(パッケージ製品)。ともに、メタデータの出力やAIモデルの選択も可能とされている。
これにより顧客はAI機能を実装したカメラの開発ができるという。ソニーは、小売業界や産業機器業界における多様なアプリケーションの実現、クラウドと協調する最適なシステムの構築に貢献していく構えだ。