入園選考を人とAIが共同してサポート、業務時間を9割減に

少子高齢化などに伴う労働力人口や歳入の減少に悩まされている。地方自治体においては近年、 デジタル駆動型社会の実現に貢献するAI(人工知能)などの先進技術を用いた業務効率化や生産性向上が求められている。

山形市では、保育園入園選考を十数人で数日かけて実施していたため、その業務負荷が大きく、業務効率化が課題となっていた。そこでNECNECソリューションイノベータは、人とAIとの共同作業で選考業務を支援するマッチングシステムを開発。山形市の協力のもと昨年7月~今年2月に同システムの実証実験を行い、従来の人力による選考結果との約99%一致、および選考にかかる時間を9割減らせることを証明した。

マッチングシステムは、選考過程やその結果に至った判断根拠を可視化でき、人とAIの共同作業を実現した。実際の選考業務では、職員が家庭状況や細かな希望などに配慮し、複雑な判断をすることが必要とされている。そのため今回、職員が保護者からの申請書をもとに、入園を希望する保育園や家庭状況などを同システムに入力――。

市の定める配点基準や優先順位、兄弟姉妹の同一保育園への入園希望など複雑な条件をAIが組み合わせて、児童に保育所を割り当てることで選考を行った。実証の選考過程では、複雑な判断を必要とする約3%の選考を山形市の職員が確認・承認した。その結果、従来の人手による選考結果との比較では99.3%が一致し、選考業務時間の約9割を削減できることを実証したという。

NECソリューションイノベータはこのたびの実証での実績やノウハウを活かし、これを「NEC 保育園AIマッチングシステム」として5月に製品化した。同システムはNECの「GPRIME 福祉総合システム」とも連携が可能だという。NECグループは、社会ソリューション事業に注力していて、今後も地方自治体が抱える課題をICT(情報通信技術)の力で解決していく構えだ。