ローカル5Gの実現とともに、IoT等の活用によるスマートファクトリが積極的に検討されている。物流分野でも、無人フォークリフト等の自動搬送ロボットがスマートファクトリの構成要素として注目されている。
有人フォークリフトでは荷姿や重量、作業環境等に合わせて、爪（フォーク）の角度を±1度以下の範囲で微調整している。一方、自動搬送ロボットは、荷物に貼付されたマーカにより荷物の位置を認識したり、柱などにあるマーカにより自身の居場所を確認したりしている。既存の紙製マーカは、汚損が生じやすいうえに、収縮や印刷の凹凸、位置精度の低さにより、搬送ロボットのフォーク微調整を困難にしている。
ゆえに高精度で耐久性があり、かつ安価なマーカが求められていたという。DNPは、自動搬送ロボット等の動きを高精度に制御するために、画像処理ソフトとカメラを活用し、角度±1度以下の精度でセンシングできる「DXマーカ」を開発した。
人工衛星の挙動計測にも使われているマーカの位置検出精度を維持しつつ、産総研技術移転ベンチャーのリーグソリューションズによる新デザインに基づき、コスト課題を解決した。DXマーカは、DNPが長年培ってきた高精密な印刷技術の一つで液晶ディスプレイのカラーフィルタでも実績のあるフォトリソグラフィ技術を活用して、0.7mm×40mm×80mmのガラス基板上に±数μmの精度でパターニングされている。
パレットや倉庫の棚、ドアやコーナーの柱、離発着地点など位置を特定したい場所や自動搬送機器、ロボット、ドローンなど無人移動体に装着し、建物や無人移動体の本体に備えられたカメラでマーカを読み取って位置を高精度に検出できる。場所や移動体を特定するIDデータも一緒に埋め込まれていて、それらの情報はカメラ1台と専用ソフトウエアで読み取れるため、低コストでモノの動きをデータ化し、管理・解析することが可能になるという。