非接触で体温測定ができる、赤外線センサモジュールを増産

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大を受け、発熱の状態を皮膚に触れることなく迅速に測定できる非接触型体温測定器が必要とされている。その需要は医療機関や介護施設のみならず、学校や空港や駅や企業などでも高まっていて、通常の供給量を超えている。

厚労省Web「新型コロナウイルス感染症について」を毎日確認し、検温しようにも適切な機器が無い――。現在の状況に対応するため、セイコーホールディングスの100%子会社で半導体製品を製造・販売しているセイコーNPCは、非接触型体温測定器に不可欠な部品「赤外線センサモジュールSMH-01B01」の増産を決定。同モジュールの生産数を従来の約3倍に相当する4万個/月に増やすことを4月27日に発表した。

SMH-01B01は、8×8画素でエリアの赤外線エネルギーを検知し放射温度に換算して出力できる、サーモパイル型赤外線アレイセンサモジュール。Si(シリコン) レンズ光学系が実装されていて、内蔵するA/Dコンバータ付きMCU(マイコン)により、各画素毎の換算放射温度およびセンサチップ上に搭載されている温度センサによる環境温度をI2Cインタフェースよりディジタル出力する。

20~200倍の倍率可変プリアンプをセンサICに内蔵していて、制御ソフトによるオートレンジ切り替えで広い温度範囲の測定が可能となる。温度を検出する感温部分に上記光学Siレンズが実装されている。防災監視機器、セキュリティ機器、簡易サーモグラフィー装置、エアコン、電子レンジにも適用される赤外線センサモジュールを用いた――体温測定器によって、30~50㎝離れた距離からでも体温を短時間に測定することができるという。

セイコーホールディングスグループは、世界的な緊急事態に必要とされる製品を確実に顧客へ届け、COVID-19の1日も早い収束に貢献できるよう最善を尽くしていく構えだ。