EVトラックによる稼働率アップやCO2削減効果を実証する

デジタル駆動型社会が実現されつつある。いま、サプライチェーンが世界経済の生命線となっていて、その実体を支えているのは貨物車両や倉庫も含めた物流システムだといえる。一方で、物流・運輸業界には、地球環境の保全に積極的に取り組むことも求められている。

国際連合が主導するSDGs(持続可能な開発目標)をざっと見ただけでも、7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、13「気候変動に具体的な対策を」が直接関係し、ほかの目標への影響も大である――。中部電力丸紅が共同で設立した合同会社フリートEVイニシアティブ(FEVI)は今月9日から'22年3月31日までの予定で、名鉄運輸およびエスライン各務原とEV(電動)トラックの最適運用に関する実証をおこなう。

FEVIが名鉄運輸とエスライン各務原のEVトラックを用いて、物流事業におけるEVトラックの運用に関する知見を得ることを目的に実施する。今回の取り組みでは、運行スケジュールに応じた最適な充電方法を検討し、急速充電による車両稼働率の向上効果、電力消費のピークコントロールによる電気料金の抑制効果、車両電動化に伴うCO2削減効果などを実証する(概要図PDF)。

初のゼロエミッション小型トラックをうたう三菱ふそう社製「eCanter」を名鉄運輸が2台、エスライン各務原が1台、それぞれ愛知県長久手市・名古屋市周辺と、岐阜県各務原市周辺にて運行し、運行データを提供する。FEVIが実証の運営ならびに効果検証、急速充電器の設置などを行う。

トラックの走行距離、燃費、CO2排出係数から、電動化に伴うCO2削減効果を検証する。FEVIは、物流・運輸車両の電動化を通じて、CO2削減に貢献するとともに、電動車両の蓄電機能を活用したBCP(事業継続計画)対策や再生可能エネルギーのさらなる活用についても提案を進めていくことで、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。