スマートフォンやSNSの普及に伴い、生活者が日常の行動を写真で記録・共有することはより身近な行為となっている。近年、360度カメラのような新しい技術を搭載したカメラも一般に普及しはじめていて、写真の活用シーンはますます広がりを見せているという。
ISIDのオープンイノベーションラボ(イノラボ)は、360度写真から対象毎に最適な構図を切り出すAI技術「Image Molder」を開発した。同技術を活用して、任意の場所に設置した360度カメラで自動撮影した連写データを、クラウド環境にアップロードし、対象物ごとに最適な構図で平面写真を切り出し、フォルダに分類するまでを、人の手を介することなく自動で行う仕組みを実現している。
イノラボでは、新しいカメラデバイスを活用し、AIによる画像解析やクラウド技術を組み合わせることで生まれる新たな写真共有プラットフォームの可能性に着目。その基礎技術として、クウジットの技術協力のもと、Image Molderを開発した。被写体から指定条件に合った人や物をAI技術により認識、対象ごとに最適な構図に調整して切り出し、自動分類して共有する。システムのプロトタイプを宇都宮のまこと幼稚園の協力を得て実証した。
日常的に子どもの活動記録がおこなわれている。多くの場合、教諭や保育士が撮影・選定・共有のために一定の時間や労力を割いている現場において、「360度カメラを設置、自動撮影することによる、園児たちの日常の自然な様子の記録」、「撮影データから一人ひとりの園児をAIが識別、最適な構図に調整した写真の切り出し」、「園児別に自動でフォルダに分類」を検証し、保護者が専用アプリを試した。
結果、「自分の子がしっかりと写っていた。真剣な表情など、自宅では見ることができない表情がみられた」とか、「普段見ることができない園での子供目線を見られた」といった声が寄せられたという。