600万人の利用データからリサイクル行動メカニズムを解明して――

海ガメの鼻からストローが抜かれる映像をみて、衝撃を受けた世界は「脱プラスティック」へと一気に舵を切った。日本でも今年7月に全国でレジ袋が有料化されるほか、すでに様々な企業がプラスティック利用の削減に取り組んでいて、市民の間に資源全般のリサイクルについての意識が高まっている。

今月1日、東北大学、仙台市のSKグループ(SKホールディングス、サイコー、SKトレーディング、ステップスナイン)、京都市の4510デザイン事務所は、ペットボトルや古紙などの資源リサイクル行動促進に向けた共同研究を開始した。国際連合が主導する「持続可能な開発目標(SDGs)」における目標12【つくる責任つかう責任】、目標14【海の豊かさを守ろう】、目標17【パートナーシップで目標を達成しよう】に貢献するという。

スーパーなど全国の小売店舗に設置された約350ヶ所('20年3月末時点)の資源回収ステーションが記録した延べ約600万人の利用データ等を活用し、資源リサイクル行動の背後にある心理的・経済的・社会的メカニズムの解明に取り組む。そしてその分析結果に基づき、'22年度までに、人間行動科学に裏付けられた新しい資源回収ステーションをデザイン、社会実験を通じて新ステーションの実用化につなげる。

3者による今回の研究は、プラスチックスマート社会に向けた東北大学の取り組みの一環であるとともに、資源利活用の新たな地域モデルの構築に向けた産学連携プロジェクトの第一弾でもある。また、資源回収率の向上や財政支出の削減等を通じて、政府・自治体の循環型社会関連施策に資するほか、海洋プラスチックごみの削減は海洋生態系の保全にも役立つ――。

人間行動科学に基づく未来のリサイクル・ステーションをデザインし実用化することは、2030年までの「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にもきっと貢献することが期待されるという。