およそ10年前に超高齢社会となった。65歳以上の人たちが全人口の21%を超え、3割に達する勢いであるこの国ではいま、医療従事者不足が深刻化し、医療現場における業務効率化、医療の安全や患者へのサービス向上が急務となっている。
医療施設では特に夜間、患者の無断外出や、目の届かない場所での転倒など重大事故につながるリスクがあり、それらの防止策が必要だという。大成建設、名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター、新城市民病院、NTTドコモ、シスコシステムズは共同で、次世代型病院――先進技術等を活用して、効率的で安心安全な医療を提供するスマートホスピタル構想の実現に向けた新たな運用・管理システムの実証実験を行っている。
病院内の業務効率化と医療の安全・サービス向上を目的とし、今年9月までの予定で、市民病院の一部病棟特定フロア及び1階出入口付近において、IoT(モノのインターネット)による「病院スタッフ、患者の位置情報から所在や動線を可視化」「患者のバイタルデータから身体状態を可視化」「端末を問わず、いつ、どこからでも情報の閲覧・通知が可能」といった機能を実証する。
今回のシステムでは、病院内にメッシュWi-Fi網、IoTゲートウェイ機器を設置し、病院スタッフと患者が装着したリストバンド型ウェアラブル端末やICタグ等からの各種データを、BLE(低消費電力型ブルートゥース)通信電波、ネットワークルータを介して携帯電話回線によりクラウド上のプラットフォームなどに集約・蓄積する環境を構築。
集約・蓄積した病院スタッフ及び患者の位置情報、心拍数・歩数等のバイタルデータ、転倒検知など患者の身体状況などを基に、上記各機能の検証を行い、その有効性を確認する。実証実験で得られたノウハウを基に、病院スタッフ及び患者のニーズを組み込み、より実用的な運用・管理システムの構築を目指していくという。