サーフィンのライブ映像を1500km超伝送、遠隔操作と編集も

スマートフォンの普及とともに、世間ではインターネットテレビや動画配信サービスなどが人気を博している。昨今、それらインターネットを活用した映像サービスや普遍的なテレビ放送でも、高精細な4K映像など、臨場感のある映像コンテンツの需要が高まっている一方で、放送業界においては――

映像の高度化に伴う番組制作における作業の負荷や、編集機材のコスト増加などが課題になっているという。テレビ朝日ソフトバンクは3月20日、沖縄県北谷町で同県のプロサーファーがサーフィンする姿を撮影したライブ映像を、第5世代移動通信システム(5G)を活用して伝送し、東京都港区のテレビ朝日本社から映像の遠隔操作・編集をリアルタイムに行う実証実験に成功した。

視聴者のニーズを満たし、放送業界の課題を解決することをめざした。今回の実証実験では、上記プロサーファーが波に乗り技を繰り出している姿を3台の高画質(HD)カメラでライブ撮影し、当該HD映像を5G端末、5G基地局、5Gコアを経由して都内にあるソフトバンクのデータセンターまで伝送し、テレビ朝日の本社から遠隔でスイッチング操作(全映像を遠隔視聴し必要な映像のみを切り換えて転送)できることを確認した。

全映像はソフトバンクのデータセンターに設置したサーバー内へリアルタイムで保存され、テレビ朝日の映像制作エンジニアがインターネット回線を用いて遠隔で編集を行えることも確認できた。データセンターとテレビ朝日本社間の映像伝送には専用線を用いて、編集作業経路と並立させた。実験の成果により、これまで撮影現場の中継車などで行っていたスイッチング操作や映像編集を、テレビ局からリモートで効率的に実施できることを証明した。

両社は、放送業界が抱える課題解決や世間で高まる需要に対して、今後も5GやIoT(モノのインターネット)を活用したさまざまな仕組み及び取り組みの検討を進めていく構えだ。