情報通信
5Gの次の世界を実現する、通信基盤向け高速トランジスタ誕生!
モノのインターネットや人工知能など、多彩なデジタル技術を駆使してサイバーとリアルを融合する「超スマート社会の実現」が目指されている。日本のみならず、世界で膨大な数のモノがネットワーク化され、データ通信量が一層爆発的に増大するだろう。
その対応策として、光・無線通信システムにおいて、集積回路の動作帯域をテラヘルツ(THz)領域まで拡張し、しくみの大容量化を図ることが考えられる。一方で、トランジスタのスイッチング速度を左右する電流利得遮断周波数(fT)は、トランジスタの種類やその構成材料を問わず、700ギガヘルツ(GHz:1000分の1THz)台で飽和傾向にあり、通信大容量化やTHz帯電子機器アプリ実現における潜在的な課題になっているという。
NTTは、インジウムリン(InP)系化合物半導体結晶成長技術と、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)製造技術の高度化により、世界最高速の800GHzを超えるfTを有するトランジスタの開発に成功した。このトランジスタを活用することで、集積回路の劇的な高速化・高性能化が可能になり、マルチTbps級の光伝送やTHz帯を利用した大容量無線通信、センシング・イメージングなどの実現が見込まれるという。
将来のスマート社会を支える高度な情報通信システムやサービスの具現化につながる。独自のInP系化合物半導体の結晶成長技術及びHBT製造技術を発展させ、厚さ約10ナノメートル(ナノ:100万分の1ミリ)の半導体結晶層内に電子を加速する構造を組み込むとともに、幅50ナノメートルの微細な電極構造を形成することで、世界最高速となるfTを有するトランジスタの実証を成し遂げた。
これにより、未来のコミュニケーション基盤IOWNや、第5世代移動通信技術の次にくるBeyond 5Gの世界を実現していくという。技術の詳細は、IEEE電子デバイスレターズに掲載されてある。