既存ハウスにも簡単導入、栽培施設内の環境をくまなく可視化する

スマート農業がわが国の基本政策にもなっている。今日、ハウス栽培における施設内環境の制御技術が開発されていて、測定機器や制御機器が発展していることもあり、収穫量の増加、品質の安定化、周年栽培が可能になりつつある。

けれど、ハウス施設内はほとんど密閉された空間のため空気が循環しづらく、たとえ環境制御技術を活用していたとしても、同じハウス内の異なる作付け・育苗場所で温度や湿度を細かく比較すると偏りが出ていることが、自社の検証で判明しているという。NTTテクノクロスは、農業におけるハウス施設内の温度・湿度を見える化する「Fermier Monitor(フェルミエ モニター)」を4月1日に発売する。

広いハウス施設内の温湿度を簡単に可視化し、環境の差(ムラ)を明らかにして、生育差や収量差、疫病の発生原因を定量的に評価することを可能にし、収量や品質の安定的な生産をサポートする。フェルミエ モニターは、LPWA(省電力広域無線)通信と無線センサー(電池で約3年間駆動)を活用することで、ハウス施設内の上下左右の多地点において、温度と湿度の計測が可能とされている。

例えば暖房機付近と出入口付近や天井付近、地上部付近の温度/飽差(水蒸気の入る余地を示す指標)を把握できるようになり、適切な温度/飽差が保たれていない箇所の改善を行える。モニタリング機能はグラフだけでなく、多地点で測定された同一時間帯の温度を1度ごとに色付けして表示する、3Dマップにも対応している。

1度の差がその成長を大きく左右する農作物について、各時間帯の温度・飽差のムラを分かりやすく可視化することで、収量差の出やすい温度ムラ箇所の具体的な制御改善が行え、収穫量の増加と品質の安定化につなげられる。フェルミエ モニターでは、オプション利用によって、複数ハウス間の環境比較や任意のセンサー間の環境比較など、より詳細な分析も容易に行えるという。