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燃焼実験データを基に、消防隊員の訓練用VRを開発
全国の消防本部では、ベテラン隊員が減少し、経験の浅い隊員の割合が急速に増加している。火災件数は毎年6~8%程度の減少傾向にあり、それ自体は良いことだが、若い消防隊員が場数を踏むことは難しい状況となっている。
18歳~30歳の隊員が33.04%を占める(全国消防長会平成31年度PDF資料より)。殉職や受傷事故の恐れがある消防隊員の活動は、知識だけでなく火災現場の経験を積むことでしか得られないものもあるという。理経は産学官連携によるVR(仮想現実)消防教育訓練システムの共同研究開発についての契約を締結。限りなく実際の現場に近い環境下で経験値が積めるようにして、消防活動の質の向上を図る。
実火災に近い状態で燃焼データを収集するため、ニッタンの技術支援を受け、東京理科大学(TUS)火災科学研究所実験棟にて燃焼実験を4回行った。測定データをVRに移してシステム開発するのは国内初となる。共同プロジェクトでは、東京大学バーチャルリアリティ教育研究センターがVR研究・開発、TUS理工学部建築学科が火災燃焼研究、横浜市消防訓練センターが教育訓練と検証、理経がVR製品開発を担当する。
「科学的なバーチャル火災現象の再現」では、時間経過とともに推移していく火災現象を正確に捉えながら、消火活動との相互作用も含めて再現する。「複数人が協調作業できるVR環境」にて経験値の高いベテラン隊員の行動を追体験することも可能とし、「消防隊員が活動時の判断に活用している感覚情報の特定」によって状況判断のコツや非言語的なノウハウを抽出し、心理的・医学的観点からの影響についても研究する。
消防隊員の教育訓練に特化した同システムについて、'20年度中の完成を目指すという。理経は、ハプティクス(触覚)など最先端の要素も取り込みながら、産学官のさらなる連携により受傷事故や殉職者の減少につながる技術開発・社会実装を行っていく構えだ。