働き方改革を進める企業のIT活用実態は?

政府が旗を振る「働き方改革」。それは昨今、様々な組織に取り入れられ、取り組まれて進展しているようにみえなくもない。テレワークや在宅勤務制度の導入は、IT(情報技術)の浸透が人々の暮らしをより良い方向に変えていくデジタルトランスフォーメーションの文脈上にあるのだろうか。

JIPDECITRは今月16日、国内878社のIT/情報セキュリティ責任者を対象に実施した「企業IT利活用動向調査2020」の一部結果を速報した。同調査では、働き方改革への取り組み、クラウド移行、情報セキュリティインシデントや個人情報保護法再改訂の動きへの関心、欧州GDPR(一般データ保護規則)などグローバルでのセキュリティガバナンス、情報セキュリティ監査の実施状況などについて、分析もしているという。

働き方改革を経営目標として掲げている企業は45.8%で、検討中を含めると約8割に達した。が、テレワーク制度や在宅勤務制度を整備している企業はともに3割を下回り、検討中の企業を含めれば5割強。働き方改革に伴うシステム導入については、実施中とする企業が3割弱、検討中が3割強であり、実施への道程半ばの状態である。

約9割の企業がクラウドサービスを利用するも、全システムまたは大半のシステムで利用しているのは約2割――。過去1年間の情報セキュリティインシデントの認知状況では、例年通り「従業員によるデータ・情報の紛失・盗難」「社内サーバ/PC/スマートフォンなどのマルウェア感染」「モバイル端末の紛失・盗難」が多く、各々20%を超える結果となったうえ、今回、個人情報に関するものに増加傾向が見られた。

個人情報保護法で改訂が検討されている利用停止請求権の拡大と違反行為への罰金に対する関心は低調、GDPRのルールにのっとり個人情報を移転している企業が増加、情報セキュリティ監査の実施が大きく拡大といった実態も明らかになったという。