およそ10年前から「超高齢社会」となっている。わが国において'17年に実施された「患者調査」によると、調査日に全国の医療施設で受療した推計患者数は入院が約130万人、外来が約720万人。入院患者の内訳は「65歳以上」約96万人、「75歳以上」約70万人となっている。
そのような実態が厚生労働省の「平成29年患者調査の概況」(PDF資料)に示されている。今日、高齢入院患者は持病が多く、同じ疾患に罹患しても症状が典型的ではなく、さらに、深刻な看護師不足も背景に、医師、看護師が一定の基準で患者個人ごとの健康を管理することは難しくなっているという。
芙蓉開発とJBCCは、芙蓉開発が提供する「安診ネット」のバイタルスコアリング技術をJBCCのWeb電子カルテ「Ecru」に連携させ、筑紫南ヶ丘病院(福岡県大野城市)に試験導入したことを今月26日に発表した。「安診ネット」は個人ごとに算出された生命徴候の基準域をもとに異常値を検知し、それを「バイタルスコア」として表示する――機能は厚生労働省科学研究所等における状態悪化の早期発見で多くの実績が報告されている。
そしてこの度、「安診ネット」でバイタル算出した「バイタルスコア」を、電子カルテ「Ecru」に連携表示させ、より総合的な判断、診断ができるようにしたという。連携強化のポイントは、「算出されたバイタルスコアを電子カルテ側で受け取り、体温表、患者一覧(入院)、病床マップ上に表示」、「バイタルスコアをこれらの画面に表示することで、より総合的な判断が可能」、「トリアージを付けた患者観察や直近3日間の変化を参考にできる」とのことだ。
両社は、「安診ネット」と電子カルテ「Ecru」連携版について、筑紫南ヶ丘病院でのモニター運用後、個人の特徴を踏まえた医療や病院経営にとって有用なシステムとして、今年末には全国で提供することを予定している。