連日連夜、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者増が報じられている。日本では、水際対策として空港の検疫所・通路等でサーマルカメラによる体温測定を行っている映像が、海外でSARS(重症急性呼吸器症候群)が問題となったとき以来、たびたび報道されている。
けれども、従来のサーモグラフィーはほとんど一人ないし少数の体温測定を基本としていて、流れていく大勢の体温を高速に計測処理することが困難であったという。高速インターフェース・画像処理テクノロジ分野のLSI事業とAI(人工知能)・IoT分野の事業とを展開するザインエレクトロニクスのグループ企業キャセイトライテックは、最大16人の体温を同時に非接触で検知する、新しいAI顔認証ソリューションを今年第1四半期にリリースする。
新型コロナウイルス対策が「国内発生の早期」フェーズに対応する必要性が生じたことを受け、大勢が集まる場所で体温の高い人を同時多数かつ高速に検知するニーズに応えるものだという。新ソリューションは、同時多数者に適用可能なAI顔認証を、黒体(Black Body:赤外線を活用する温度計の参照物)を併用したサーマルカメラ上で実行する。
日本でのソリューション適用を中国画像認識AIユニコーン企業――COVID-19対策用として今年中国で約100万台、他国でも数十万台の同等性能システムの受注実績を有するYITU Technologyとのコラボレーションにより行う。同時多数体温検知は、黒体併用により精度が高く(黒体を使用しない従来方法の1/3程度の誤差)、発熱中の一般来場者の認識・追尾や、大規模事業所で多数勤務者の定期体温測定も可能とする。
新ソリューションでは、新型ウイルス受診の目安として政府の専門家会議が公表した発熱37.5度4日以上の勤務者を、一定の条件下で確認することができる。安全・安心な環境対策の強化を実現するという。