スマート農業、データ駆動型にて地域への実装をめざす

少子高齢化などにより農業従事者が減少している。日本では、政府がSociety5.0※の社会実装を急ぎ、データ駆動型産業を提唱していて、省力化や生産性向上を実現する「スマート農業」への関心が高まっている。

Society5.0

統合イノベーション戦略2019」本文97頁にある「'25年までに農家の担い手のほぼすべてがデータを活用した農業を実践」する目標を達成するには生産者や地域の利益につながる仕組みが要る。「経験値に頼らず、高単価な農産物や競争力がある新たな品種を安定生産でき、所得向上につながる」仕組みや、「農産物の栽培技術継承やブランド力向上を通じ、農業を持続可能な産業として維持・成長させる」仕組みに期待する声が生産者・自治体から寄せられているという。

NTT東日本NTTアグリテクノロジー農研機構は、農業の生産性向上や生産者の所得向上を目的に、データ駆動型農業の地域実装を協力して推進するため、今月19日に連携協定を締結した。同機構保有の農産物栽培マニュアルをデジタル化してクラウドに格納し、圃場のIoT機器で取得する環境データと自動的に連動する仕組みを日本で初めて実現するという。

栽培経験が浅い生産者でも最適な圃場環境の管理ができる情報や、栽培法を効果的に入手可能とする。3者の仕組みは、新規参入組の生産者や、付加価値の高い品種栽培にチャレンジする生産者の安定生産を支援する。地域や農産物の種類に最適な圃場環境の管理に必要な基準(温度等)を生産者のタブレット端末等に自動表示する。ICTの知識がなくても手軽に活用でき、データ駆動型農業を身近にする。

デジタル栽培マニュアルは技術の継承に活かせ、持続可能な農業に資することが期待される。そして、圃場に設置するIoTセンシング機器にて蓄積された環境データを、同マニュアルに反映させブラッシュアップを図ることで、産地全体のブランドや付加価値の向上につなげられるという。