ソニーセミコンダクタソリューションズとフランスのPropheseeは今月19日、業界最小となる画素サイズ4.86μmで業界最高124dB以上のHDR特性を実現する積層型イベントベースビジョンセンサを共同開発したと発表。この成果は米国で開催中のISSCC(国際固体素子回路会議)にて披露された。
画素チップ(上部)と、非同期デルタ変調方式を用いた輝度変化を検出する信号処理回路を組み込んだロジックチップ(下部)を分割して配置。双方を画素ごとにCu-Cu接続を用いて導通し、積層。ロジックチップに微細な40nmプロセスを採用し高集積化を図ることで、上記画素サイズに加え、1/2型で1,280×720のHD解像度を実現した。
裏面照射型画素と一部のN型MOSトランジスタのみを画素チップに搭載し、開口率を77%に高めたことで、124dB以上のHDR特性を得た。長年のCMOSイメージセンサ開発で培った高感度、低ノイズ技術により、低照度(40mlx)でのイベント検出が可能になったという。積層型イベントベースビジョンセンサは、高時間分解能、高出力でのイベントデータ読み出しができる。
各画素の輝度変化を非同期で検出し、変化したデータのみを座標および時間の情報と組み合わせて出力するため、高効率で高速、低遅延なデータ出力が可能である。今回の開発品は、ソニーが保有する各種技術と、プロフェシーが保有するMetavision®の高時間分解能、高出力のデータ読み出しなどのイベントベース方式のビジョンセンシング技術とを組み合わせることにより、完成した。
低消費電力で小型ながら高解像度で高速、高時間分解能を実現した。新たなビジョンセンサは、幅広い環境、状況下での素早い動体の検出など、様々なマシンビジョン用途に適しているという。