学術ネットワークと接続、多彩なローカル5Gユースケースの開発へ

超高速・大容量、低遅延、多数同時接続といった特長を備えた第5世代移動通信システム(5G)がもうすぐ本格稼働する。日本では、企業・団体が自ら5Gシステムを構築し、産業あるいは地域の個別ニーズに合わせたサービスを展開する「ローカル5G」の研究も盛んである。

総務省の「ローカル5Gの概要について」(PDF資料)には、eスタジアム、遠隔医療、4K・8K動画、建機遠隔制御、スマートファクトリ、テレワーク環境の整備、河川等の監視、自動農場管理といったところでのローカル5G利用が想定されていて、大手通信事業者による5G商用サービスが開始されれば、5Gネットワークの適用分野はこの想定を超えて多種多様になっていくだろう。

今月、慶應義塾大学SFC研究所ソフトバンクは、5Gを活用したユースケース(機能要求を含む振舞の把握技法)の共同研究を湘南藤沢キャンパスで開始した。同研究所は、ローカル5Gにおける様々なユースケースの実証実験を見据えて、ソフトバンクが開発中の可搬型5G設備と、MEC(多重アクセスエッジコンピューティング)サーバーを導入し、構内に自営5Gネットワークを構築。自ら運用を行う。

同ネットワークは、WIDEプロジェクトの学術研究ネットワークに接続していて、多様な研究組織や企業、自治体との協力の下、5Gにおけるユースケースの実証実験での活用を予定――。例えば大学構内のカメラ映像を5G伝送し、構内のバス停や駐車場等の混雑率の可視化、歩行者向けナビゲーション、構内の安心・安全に資する情報配信など、キャンパス運用の高度化・効率化の検証を行う。

学生向けに5GやMECサーバーを開放――新たなユースケース開発の検証も行われる予定だという。ソフトバンクはこの度の共同研究を通して、今後訪れる5Gの需要拡大を見据え、納入先の企業・団体が自律的に運営可能なシステムの商用化を目標に、該開発を推進していく構えだ。