人口の多さで一、二を争う国々の受験会場における大規模な不正行為や不正防止の光景が、驚きをもって報道されることがある。日本でも、高校や大学の入学試験、国家資格等の試験において、携帯電話とかスマートフォンを使ったカンニング行為がたびたび発生し、問題になっている。
多くの試験会場では試験官が"目"でそれらの不正を監視をしている。が、目視できる範囲は限られていて、死角も生じるし、受験者全員の行動を常に確認していることは難しい――といって、さまざまな分野で「人手不足」と「働き方改革」が叫ばれるこの国において、試験官を増員することも困難である。人の目のみによって不正をなくそうとする、これまでのしくみには課題があったという。
人工知能・ビッグデータ分析に特化した技術ベンチャー企業であるユーザーローカルは今月18日、ディープラーニング(深層学習)によって試験中の不正行為を自動検知するAI技術を開発したことを発表。同技術は、試験会場内にエッジAI端末とWebカメラを設置するだけで、リアルタイムにカンニングの疑いがある受験者を人工知能が自動検知するもので、"目"による監視を補完するうえ、プライバシーにも配慮したものになっているという。
クラウドではなく端末内のディープラーニングAIが働く。今回のしくみは、同社の視線推定AI・姿勢推定AI技術によって、受験者の視線の異常・頭部や手の動きの異常を検知する。不正をしていない受験者の顔の映像はマスキングされるため、受験者のプライバシー/個人情報を保護しながら安全にカンニング行為者だけを検知することができる。
ディープラーニングによる行動推定技術を用いて、受験者の映像から検知した姿勢・骨格・視線などのデータをもとに、不正行為を自動検知するシステムを研究してきた、同社は、これにより試験官をアシストし、受験者を冤罪から守り、一層公正な試験の実施を支援していくという。