スマート農業基盤にAIと暗号技術を追加、高品質な野菜づくりを支援

農業従事者の減少や高齢化が進んでいる。日本では、生産性の向上や栽培技術・ノウハウの継承に資する、無人飛行機ドローンやロボット技術、情報通信技術(ICT)の活用が見込まれ、その発展が期待されている。

農水省が基本政策に掲げているスマート農業――。これらを発展普及させていくためには、高水準な栽培を実現する生産管理情報や栽培記録等の漏えい、ドローン・ロボット・環境制御装置などの不正操作を防止するセキュリティ強化が一層重要になるという。静岡大学NTTドコモの3者は、営農支援プラットフォームに暗号技術とAI技術を搭載し、高品質な野菜を安心・安全かつ効率的に栽培できるシステムの実証実験を行う。

静岡県の圃場で今月下旬に開始する。実験では、スマート農業に対応したドコモの「畑アシスト™」のセキュリティを強化し、静岡大学のクラウド型AI灌水(「COMPAG」掲載)を用いて、高糖度のトマトを栽培する。農業用ハウスの内部に温度・湿度センサなどのIoT機器を設置し、センサから得た情報を、NTTのIoT向け軽量認証認可(IDベース鍵交換:「ESORICS 2019」発表)方式で暗号化してクラウド上のAIに送信する。

上記センサ情報を基に、AIが水やりの要否を判断。水やりが必要と判断された場合、灌水装置が水やりを行う。この時、クラウドと灌水装置の間で互いに認証を行う――認証認可された相手とだけ、暗号化したデータを送受信する――ことで、灌水装置の不正操作を防ぐ。センサデータの暗号化により、栽培ノウハウの盗用も防ぐという。

3者は、「畑アシスト」へIoT向けセキュリティ技術とクラウド型AIを組み込んだシステムの動作検証を行い、このシステムのサービス化を検討する。IoT向け認証認可技術を搭載したセンサーデバイス、カメラ、灌水制御装置が備えられる実験圃場は、Happy Quality社の研究棟ハウスとのことだ。