VR空間での脳活動を可視化、新たなコンテンツの開発へ

仮想現実(VR)が産業や社会、医療分野にまで広がりつつある。近年、VR訓練コンテンツを作ったものの、実効性のある訓練になっているか、定量化できないとの声が多く聞かれる。

VR開発過程ならびに完成時に脳活動計測を取り込むことで、より効果的なコンテンツ開発をおこなえる。脳活動の差異から熟練者と初級者の思考の違いを分析できるという。理経は、東北大学日立ハイテクのジョイントベンチャーNeUと、脳科学アドバイザリーサービス契約を締結。VR体験中の脳活動計測を軸としたVRコンテンツ開発サービスの提供を開始すると今月12日に発表した。

同サービスにはHTCが提供するVIVEの高精度アイトラッキングシステムを用いたVR体験者の視線追跡も含まれる――。NeUは脳血流計測(NIRS)による「脳活動の見える化」技術を軸として、研究市場向けハードウェアの開発やマーケティング支援ソリューションを展開だという。理経は防災訓練用VRコンテンツをはじめ、エンタープライズ向けVRを開発し、これまで神戸市消防局広島大学など多数の機関と共同開発も行ってきた。

そして今回、VR体験中の脳血流、皮膚電位(発汗状況にて精神活動状態を示す)などの生体情報を計測・分析することで、「VR空間での感性評価」や「VRの効果測定」を可能とする。さらに「VIVE Pro Eye」のVRシステムとその視線追跡技術を利用することで、両眼の動きを正確に追跡することができ、深いデータ分析を行えるようにする。サービスは、例えば自動車内部のインテリア評価に使える。

インテリアの位置・形・色などをVR空間上で自由に切り替えることで、コックピットのHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)開発の検証作業を効率化できる。モックアップの製作を不要として、コストダウンが図れる。VRコンテンツ開発サービスは、もちろん訓練コンテンツの効果検証を可能にする。