食品生産を最適化、要員計画もAIにて自動立案する

需要の変動にあわせて食品を生産し供給する。メーカーでは、生産年齢人口の減少に伴う熟練者の不足などを背景に、先進的デジタル技術を活用し、高効率な生産体制を築くことの重要性が高まっている。

工場別・ライン別・生産品目別に、①ノウハウや経験則に基づく勘、②設備や納期、コスト、③作業者のスキルを考慮した配置(勤務シフト)などの複雑な制約条件、④過去の膨大な計画履歴などを基に、生産及び要員計画を長時間かけて立案することにより、一定の効果が得られるものの、これを継続するには限界がある。熟練者の勘をシステム化するのは困難であり、その人や一部の作業員の負担が大きい手法は改善を要したという。

ニチレイフーズは、日立製作所との協創を通じ、AI(人工知能)を活用して最適な生産計画および要員計画を自動立案するシステムを国内4拠点の食品工場に導入。それらの本格運用を1月から順次開始している。同システムは、熟練者の立案する複雑な制約条件を考慮した計画を高度なAI技術により再現・進化させるもので、ニチレイフーズでは、これまでの当該業務時間を従来の1/10程度に短縮可能であることが確認された。

熟練者以外の従業員がよりフレキシブルな生産計画・要員配置を作成できることから、労働時間の低減や休暇取得の向上など「働き方改革」の一助となることも期待されるという。ニチレイフーズは同システムの導入を国内11工場、および海外工場にも順次広げていく考えであり、他のデジタル技術も活用しながら、生産性向上や生産リードタイム短縮、在庫圧縮への取り組みと働き方改革をさらに推進していく。

一方、日立は、複雑で多岐にわたる生産パターンや制約条件等を有するニチレイフーズとの検証で得られた経験を活かして、今回適用したシステム/計画最適化サービスLumadaソリューションとして幅広い業種に展開し、顧客の社会・経済価値の向上に貢献していく構えだ。