注目を推定するAIにて広告効果や映像評価を分析、安全運転支援にも

先進諸国に第3次人工知能(AI)ブームが訪れている。知的ゲームで人間を凌駕したディープラーニング(深層学習)がおこしたそれは、かつてのブームと違い大海のうねりとなっていて、実用的なAI技術の進化を加速し、さまざまな産業や社会のしくみ、医療分野にまで革新をもたらしつつある。

今月4日、AI・ビッグデータ分析技術のベンチャー企業であるユーザーローカルは、ディープラーニングによって映像内の人物がどこを見ているかを推定する「ユーザーローカル 視線推定AI」の提供を開始した。これはデジタルサイネージの広告閲覧状況や、映像コンテンツがどの程度見られたか、どのエリアに注目が集まったかを分析する、アイトラッキング技術だという。

「ユーザーローカル 視線推定AI」では、ディープラーニング技術による画像認識によって画像内の人物が見ている視線の方向を推定し、そこから独自アルゴリズムによって注視箇所を判定する。とくに注視度が高い箇所を可視化するためのヒートマップ表示機能も利用できるという。同社の視線推定AIは、屋外広告やデジタルサイネージへの注視分析に用いて、広告効果の測定に役立てられる。

実店舗内の棚前でのユーザー行動調査に活用すれば、店舗内キャンペーンの効果測定が可能となり、棚のエリア・商品のうち注目されやすかった箇所をヒートマップで確認できる。他方で、映像コンテンツ視聴、ゲームソフト内のどこが注目されているかを調査し、ユーザーの評価を分析することもできるようになる。さらに、ドライバーモニタリングによる運転支援に活かせる。

車内カメラで運転手の視線をモニタリングして、注意散漫や眠気を感じていると検知した場合にアラートを出すなど、運転支援システムへの活用も期待される。――ユーザーローカルのアイトラッキング技術は、国内大手企業を含む1,000社以上への製品導入実績をベースに開発されたものだろう。