食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷~製品出荷に至る全工程内でハザードを除去/低減する。そのために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保する衛生管理手法をHACCP(ハサップ)という。
HACCPは、国連食糧農業機関とWHOの合同機関である食品規格 (コーデックス) 委員会から発表され、各国にその採用が推奨されている(厚労省Webより)。コーデックス委員会の情報が農水省Webにある日本においては、'18年6月に改正食品衛生法が公布され、原則としてすべての食品等事業者に、HACCPに準ずる衛生管理が求められている。
同手法では、微生物管理などに関する科学的な知見及びそれらに基づく文書の作成と運用が必要となる。ゆえに事業者の大きな負担となる場合があるという。アイネスと三菱総合研究所は、HACCP制度化に対応する食品関連事業者向け支援サービス「HACCPナビ」を1月31日から提供する。第一弾として、「文書作成支援」と「ハザード・データベース」の機能を提供し、以後段階的に機能を拡張していくという。
HACCPナビの文書作成支援では、HACCPや食品安全マネジメント規格が要求する文書や図表を、HACCPのフローダイアグラムに特化した作図ツールを使い、関連する法令や科学的根拠を参照しながら効率的かつ効果的に作成できる。厚労省や業界団体が発行している手引書をあらかじめ様式として取り込んでいるため、それらの様式に沿って作成することも可能だ。
そしてHACCP導入・運用に必要な科学的知見をまとめたデータベースが提供されるため、食品安全レベルを確保した文書の作成が、書類を探したり文言を引用したりする手間を省きつつ行える。作成した書類はセキュアなクラウド上に整理して蓄積できる。組織として作成した文書やノウハウの蓄積と伝承が可能になるという。