5G×i-Construction、新幹線のトンネル工事で実証

生産年齢人口が減少している。この国では様々な業種でICT(情報通信技術)機器などの高度化、データの利活用による移動や労力の削減、生産性の向上が求められている。例えば建設業では、ICTの全面的な活用によって魅力ある現場を目指す取り組みが進められている。

山岳列島でもある日本には、トンネルが多数ある。そしてその工事現場では、落盤や土砂崩れ、酸欠、火災などの重大事故が起こることがあり、一層安心・安全な労働環境の実現も求められているという。WCPソフトバンクは、大成建設と協力し、第5世代移動通信システム(5G)を活用して、国交省が推進するi-Constructionの実現に向けた実証実験を「北海道新幹線、後志トンネル(落合)他工事」で昨年12月に実施した。

トンネル工事現場における作業員の安全管理を目的とした。今回の実証実験では、多数端末からの同時接続要求を処理可能とする5Gの技術的条件等に関する調査検討を総務省から請け負っているWCPが、北海道余市郡の上記トンネル工事現場において、ソフトバンクの可搬型設備「おでかけ5G」を設置し、5G通信網を構築して、センサーによるデータ収集と建設機械の遠隔操作に関する検証を行った。

毒性ガスや可燃性ガスのデータを収集、温度やCO2などを外部から常時モニタリングして、危険値の検出時には作業員へアラートを送る仕組に加え、カナロボ(開発元カネモトPDF資料)搭載油圧ショベルとクローラダンプを5G端末化して、MEC(モバイルエッジ処理)サーバ経由でトンネル外から遠隔操作できる環境を構築。災害発生時に通信容量がひっ迫した場合を想定し、スライシングによる優先制御機能の確認もおこなった。

結果、迅速な避難誘導か可能になること、おでかけ5Gから約1.4km離れた操作室で建機を安全に操作し、建機にある4台のHDカメラからの映像が円滑に伝送されることが実証されたという。