アパートなどに一人で暮らす高齢者をIoTで見守る

約10年前に超高齢社会となった。日本では少子高齢化や仕事の都市圏集中などにより、高齢単身世帯が増え続けている。昭和58年からの30年間で同世帯は5.6倍――。平成25年、高齢単身世帯のうち共同住宅に居る人の割合はおよそ4割に達した。

総務省統計局ウェブ「高齢者の住まい」にそのような実状が示されていて、この統計がとられてから7年後の現在、共同住宅に一人で暮らす高齢者が増えていることは想像に難くないだろう。孤独死の数も増加傾向にあるのが現状であり、部屋を貸し出す不動産会社は、そうなった部屋を含めたマンション全体の価値低下や、発見が遅れれば部屋の清掃代が非常に高額になってしまうことに悩まされている。

そのため、高齢者への物件賃貸を敬遠する不動産オーナーも存在するという。NTT東日本は2月、同社の事業促進プログラム「LIGHTnIC」採択企業インフィックとともに、神奈川県宅地建物取引業協会の助力を得て、小田原不動産の保有物件において、あらゆるモノがネットにつながるIoT技術を搭載しかつ廉価を実現した、高齢者見守りセンサー「LASHIC(ラシク)」によるソリューションの実証実験を開始する。

賃貸マンションやアパートにおいて、各入居者の生活状況に応じ同センサー(室内の温度・湿度・照度・運動量を確認できるしくみ)を配置し、家庭毎に閾値を変更し、他種類のセンサーの必要性なども明らかにしつつ、室内を見守ることで異常事態を早期に把握できるかを検証する。平常時には管理業者や管理人が適宜状況確認し、一定時間室内に動きがない時にはスマホやPCにアラートが発報される。

「LASHIC」を活用したしくみによって、不動産会社の懸念、物件オーナーの損害、そして高齢者の不安を払拭し、高齢単身世帯に安定的な住環境を提供できるという。NTT東日本とインフィックは、貸し手と借り手双方にとって有益となる世界を目指している。