ものづくり現場、スマートグラスで聴覚障がい者の研修時間が4割減

持続可能な社会と多様性の実現が世界の国々で目指されている。いま、日本では少子高齢化が加速していて、多種多様な業種で労働力不足が深刻化しつつある。ものづくり大国としての地位を支えていた中小企業を含む、製造業界全体では技術やノウハウの伝承も重要課題となっている。

技術者や作業者不足を解消するため、製造業のものづくり現場においてもワークライフバランスの向上や多様な人材活用といった働き方改革が喫緊のテーマになっているという。CECは昨年8月より、オートマチックトランスミッション世界シェア1位/カーナビシステム同2位のアイシン・エィ・ダブリュ、および山本光学と、AW製造本部第二工場にて、スマートグラスを軸にしたデジタル技術と多様な人材の活用に向けた2期目の実証実験を行っている。

現場では、聴覚障がい者のコミュニケーション支援として、異言語にも対応可能なCECのスマートグラスアプリ「EdaGlass」と音声認識技術を用いる。山本光学のスマートグラス「Versatile」(PDFリーフレット)を装着した作業者との双方向コミュニケーション、教育研修におけるスマートグラスの有用性を実証する。この度の実験では、稼動中の機械の異常や作業不備などが発生した際に、復旧手段を伝えるライン外教育にそれらを活用した。

作業指示者の声がマイクからスマホを通してクラウド上の音声認識エンジンで文字データ化され、保護めがね内に表示される――仕組みにより、現在、スマートグラスの装着前後を比較した作業計測・記録データをもとに、工場教育の時間短縮、職場コミュニケーションの活性化などものづくり現場の働き方改革を目指している。取り組みにおいて今回、聴覚障がい者の研修時間を56時間から33時間に削減することができたという。

3社は「誰もがイキイキと活躍できる生産現場づくり」をめざし、今後もトップギアでプロジェクトを進めていく構えだ。