わが国の成長戦略の実現に必要となる、大胆な規制・制度改革を実行し、「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を創出する――。そのために設けられた特別区域では、経済や社会情勢の変化を睨みつつ、自治体や事業者が創意工夫をこらした取り組みを行っている。
岩盤規制に対する特例措置の整備や、関連諸制度の改革等を総合的かつ集中的に実施するものである「国家戦略特区」制度において、中山間農業改革特区に選ばれている兵庫県養父市は今回、日本航空(JAL)とともに、無人飛行機による地域課題解決をめざす。両者は1月24日に連携協定締結を発表。同協定に基づき、JALはテラドローンの技術協力を得て、今春同市にて小型固定翼ドローンの実証実験を行う。
JALとテラドローンは昨年夏より、ドローン運航管理システム「Terra UTM」を活用し、滑走路を必要とせず少ないエネルギーで長距離飛行が可能な小型固定翼機を用いた物流の実証準備を進めてきた。そして今般、養父市の差配の下、同システム・同機体を活用して、公立八鹿病院敷地~八木川上空~国民健康保険出合診療所付近までの約25kmで、災害応急支援物資を無人空輸する。
各医療機関と出合校区協議会の協力、メディセオによる試験用機材(輸送用筐体、模擬アンプル、温度ロガー)の提供を受けて、包帯などの衛生物資・市販薬・模擬アンプルの空輸を試みる。ドローンを活用した中山間地域での新しい物流サービスの実証と検証を行い、山間地域でのエアモビリティ活用の共同検討も実施する。
JALは空の移動に係る安心安全運航ノウハウを活用し、ドローンや空飛ぶクルマなど次世代エアモビリティの運航プラットフォームの構築をめざしていく。一方、テラドローンは、小型無人機による物流サービスの提供を通して、災害対応や医療などの分野で中山間地域の課題を解決し、国連で採択されたSDGsの達成に向けた取り組みを推進していくという。