ものづくり大国としての持続可能性を追求する。わが国では現在、たとえば工場へ新しい設備を搬入する際には実機を用いた事前確認が行われる。搬入される設備が作業者からどのように見えるか、作業者が仕事をするためのスペースが確保されているかなどの検証が不可欠となっている。
それが不十分であれば、実際の搬入時にトラブルが発生し、緊急対応によるコスト増加、操業の一時停止にもつながりかねない。工場などの現場における各種検証について、現物をそのまま仮想現実(VR)空間に置き、仮想モデルとともに検証したいとの要望があったという。
ラティスは17日、点群を含む大容量3DモデルのVR検証を可能にした「XVL Studio VR オプション」の最新版"Ver. 18.0b"をリリースした。既存の設備や工場を3Dスキャナで計測した点群データと新設計3Dモデルを融合。デザインレビューや設置・施工手順の検証を行う「XVL Studio Hybrid」に新バージョンのXVL VRを組み合わせることで、実機がなくとも各種の検証を行えるようになる。
搬入を行う作業者がXVL VRを利用し、実際の現場ではどのように見えるか、作業スペースに十分な余裕があるか等を自らが見て、動き、体験することにより、ディスプレイ上での検証では気付きにくかった課題を検出することができる。新バージョンのXVL VRでは、3Dモデル移動中の干渉も検出できる。この機能を利用することで、工具や設備を表す3Dモデルを他の部品に干渉させることなく動かし得るかを検証できるようになる。
干渉位置はスナップショットとして保存可能なため、関係者間で課題を共有し迅速に対策を検討できるという。XVL Studioシリーズで、年間約7億円の出荷を計画している。ラティスは、一気通貫した3Dデータ活用による製造業のデジタルトランスフォーメーションに貢献していく考えだ。