情報通信
次世代高速通信エリアを構築、電波の反射と透過を制御する
超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続を特長とする5Gの商用サービスが今春本格化する。日本では今、さらに10倍速い第6世代通信(6G)の世界的リーダーとなるべく産官学の連携等が始まっている。
5G以降の世代で利用される高周波数帯は直進性が強く、基地局から見通せる範囲外は電波の反射を活用してエリア構築することが効果的であるという。NTTドコモは、AGCの協力を得て、高い透明性を維持しながら電波の反射・透過を制御する「透明動的メタサーフェス」のプロトタイプを開発し、横須賀市内のドコモR&Dセンタにて10日、28GHz帯電波の透過・反射を動的に制御する実証実験に世界で初めて成功した。
5Gにおけるエリア構築の最適化に向けて、ドコモは反射波の方向やビーム形状を任意に設計することが可能なメタマテリアル反射板を検討してきた。それはエリア拡大に有効だが、設置場所に合せた設計が求められる。反射板の裏に電波が届かないとか、景観に影響を与えるなどの課題があり、エリア拡大を進めていくためにはより柔軟に電波伝搬を制御する必要があったという。同社とAGCが開発した。
透明動的メタサーフェスは、小さな構造体を規則的に多数配置したメタサーフェス基板を透明化したものに透明なガラス基板を重ねた、ガラス基板を微小可動させることで、入射電波を透過するモード、電波の一部を透過し一部を反射するモード、すべての電波を反射するモードの3パターンを動的に制御できる。28GHz帯で、透過モード時に電波が減衰することなく基板を透過し、反射モード時にも電波の減衰なく反射することを確認した。
"基板の大面積化が容易"であり、景観や既存デザインを損なわずに建築物や看板、広告、車両などへ設置し、屋内等でも一層きめ細やかな5Gエリアが構築できる。より高い周波数への適用も可能な透明動的メタサーフェスは23~24日、ドコモのイベントで披露される。