教室のCO2濃度と温熱環境をモニタリング、快適性と学習効率を保つ

持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みが進められている。地球上で、環境から産業・社会基盤、人の多様性や行動・生活などにわたる17のSDGsに、4「質の高い教育をみんなに」がある。

すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する(UNDP駐日代表事務所Webより)。日本において、SDG4の中心はすべての学舎であり、教室や運動場や体育館を含む教育現場である――。そこで、旭化成は今月16日、滋賀大学と共同で、教育現場におけるCO2濃度と温熱環境の見える化による、より良い教育環境の構築に向けた実証実験を開始した。

同社の環境センシングプロジェクトでは、グループ会社AKMが開発中の連続環境モニタリングシステム――温度、湿度、CO2濃度、気圧、風量、加速度、音などの測定データを、無線接続のクラウド経由で簡単に、PCやスマホから常時即座に確認できるしくみを用いた施設における環境の可視化、およびそのデータの活用による新たな社会価値の実現――事業化の加速を目指しているという。

一方、滋賀大学では、教育学部の大平雅子准教授(大平研究室)が「環境デザインによる未病ケア研究」をテーマに人間の快・不快を評価するバイオマーカーを用いて、環境の変化が人体へ与える影響を明らかにする研究を進めている。この研究を発展させていくことで、環境制御によって、人体の心身の状態をより良い方向に導くシステムの構築を目指している。

今回の実証実験では、快適性と学習効率の維持が求められる環境として、同学部附属中学校の協力のもと、一部の教室にてCO2と温熱環境をモニタリング。滋賀大学の環境デザインの知見と、旭化成の連続環境モニタリングシステムからリアルタイムに得られ蓄積されるCO2および温熱環境データを活用し、国の将来を担う子供たちが快適な環境で学べる、より良い教育環境の構築に取り組んでいくという。